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理解者

2017/09/10 Sun 12:49

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心療内科の通院日。

相変わらず特別話したいと思う事はなく、それでも保険請求の為に15分は何か話さないと迷惑じゃないか?と思い、待合室で待っている時から、何を話すべきかを悩む。

しかし話すべき内容を考えているうちに名前を呼ばれてしまった。
仕方なく診察室に入る。

「最近調子はどうですか?」

穏やかに医師に質問された。

「はい、落ち着いています。特に問題はないです」

「それは良かったです」


ここで沈黙。

本当に5秒程度で会話が終わってしまうから困る。
何か、何か話さなくては……。

私は沈黙に耐えかねて、思いつくまま話し始めた。

「減薬は順調なのですが、それとは別に今家族関係で色々あって、それはそれでストレスなのかな……と」

「家族関係?」


医師は会話のテーマを出された事で、ホッとしたように聞き返した。

私は現在、夫の両親から同居を迫らせている事。親、夫の兄夫婦、夫、私以外の全ての人が、介護施設の利用に難色を示している事を話した。

こんなくだらない話、主婦の愚痴だよなぁ……内心そう思いながら、それでも他に話す事もない為、私は一人介護問題の話を続けた。そして最後に、「まぁ、誰もが悩むようなよくある問題ですよね」と自分でフォロー。自分で着地点を勝手に決めてしまう所が私の悪いところなのかもしれない。だが聞いている相手にこんな話は迷惑だと思われる事が怖くてつい問題を問題でないかのように締めくくってしまう。

私は軽く会話を終わらせたつもり。
「そんな毎日です」「よくある主婦の愚痴です」という風に。

だが医師は予想外にこの話に興味を示した。

「自宅で介護なんて無理ですよ!」「介護保険というものがあるのですから」「ご両親は今時珍しい方ですね」

あれ?もしかしてこの医師もプライベートで介護問題があるのだろうか?と思う程、熱を入れて介護について語り始めた。
とにかく「介護施設に入るべき!」と力説していた。

私が「私のような性格の場合、精神的に圧し潰されてしまいそうで」と言うと、医師は

「いえいえ、あなたの性格がどうとかいう問題ではないですよ!誰だって無理です」と熱く言う。

なんだか笑えた。どうしてこんなに熱くなってくれているのだろう?
でも自分の言った事を否定されるより、自分以上に肯定してくれる事で気持ちが軽くなった。夫を含め、家族の考え方が違う限り、まだまだ解決したとは言えないが、誰か理解してくれる人がいるというのは救いになる。

私はこの心療内科に通ってきた中で、今までで一番足取り軽く病院を出たような気がする。


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