自由奔放



――前回の続き。

母は調子よく話続けた。

最初のあの不機嫌ぶりは何だったのかと思う。
自分を心配して欲しい欲求がそうさせているのか?何にしても、いつも母の話が長くなり始めるとため息が出る。

そのうち母は、従妹の優ちゃんの話もし始めた。

優ちゃんは私より5歳年下の従妹で、母は昔から優ちゃんがお気に入りだった。

ルックスも愛らしく、素直で明るく誰からも可愛がられて育っていた。

優ちゃんは見るからにお嬢様という感じ。
かといって気取ったところもなく、自分の意思を率直に言える部分もあり、凄くしっかりした女性だ。私など足元にも及ばない。

その上、彼女は超が付くほど頭が良く、日本で最も難関だと言われる大学にストレートで合格。卒業後には有名企業に就職した。

トントン拍子で進む彼女の人生。

時々母が、「優ちゃんって本当に可愛い娘よね」と言う度に耳が痛かった。

だが、この日の母から聞く優ちゃんの評価は違った。

就職した後の優ちゃんを詳しく知らなかったが、優ちゃんは数年してからその企業を退職したらしい。
そして職を転々とし、「私のいる場所はここじゃない。もっとやりたい仕事がある」と言い、すぐにまた転職してしまう。

優ちゃんの親はその状況をとても心配している。

職が定まらず、30代後半にもなるのに、現在は無職になってしまったとの事。
結婚する予定もその気もないらしい。


更に最近優ちゃんは、「海外に行って働いてみたい」とまで言い出しているらしく、親は頭を抱えていると言う。そんな事よりも早く結婚して子供を産んでほしいと。

私は話を聞いていて、凄く優ちゃんが羨ましかった。
綺麗な生き方ではないかもしれないが、自由奔放で自分に迷いがないところがいい。どんな常識にも縛られない。

優ちゃんの話を聞いていると、こんな私の人生でも別にいいのかな、人それぞれ違っていてもいいよね、そう思えてくる。

だが私の母は違った。
「あんなに子供の頃はよく出来る子だったのに……。勿体ないわ。どんなに遠くまで夢を追いかけても、それは自分の欲が深い限り、永遠に叶えられないのよ。現状に満足する事で幸せになれるんだから」と言った。

そうかもしれない。でもいいじゃない、自分を試したい優ちゃんの気持ちはよく分かる。それを実行している優ちゃんは私から見ればキラキラしている。

だが私の母は「ダメになってしまった子」という言い方をし、「仕事は同じ場所で続ける事に意味があるのに」と言っていた。

そういう母の固定観念が私を苦しめる。
優ちゃんの話をしている様でいて、間接的に私に自分の理想を押し付けている。

そんな理想論がある母なのに、いつも不幸に見えるのはなぜ?現状に満足していないのは母も同じではないか。

だが心の内は母に言えない。
母は話したいだけ話せてスッキリした様子だったが、帰宅後私のモヤモヤ感は消えなかった。

自由奔放に生きる優ちゃんのような人生、やはり羨ましい。





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Posted byころり

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